検討営業距離
・新横浜駅〜川崎駅間約9km
・川崎駅〜東京湾横断道路10.5km
・羽田空港支線5km
・東京湾横断道路併設部約15km
・木更津上陸後7km
/合計46.5km
路線図
駅数
主要駅7駅
中間駅23駅(平均1km間隔)
/いずれも検討委員会・モノレール協会検討
表定速度
30〜60km/h
列車運転間隔
ピーク時:8〜10分
(検討委員会・モノレール協会案)
複・単線
複線
モノレール方式
日立アルウェーグ式
車両
大型6両編成(検討委員会・日本モノレール協会案)
所要車両数
114〜168両
VIDEO
1.東京湾横断道路併用モノレール
「東京湾横断道路併用モノレール」とは、かつて日本モノレール協会が東京湾横断道路併用モノレール検討委員会を組織し検討したモノレール計画路線。東京湾横断道路は現在"東京湾アクアライン"として、神奈川県川崎市から東京湾を横断して千葉県木更津市へ至る高速道路として整備されている。
東京湾横断道路併用モノレール路線計画図(案)
【出典】日本モノレール協会協会誌49号(1983年3月) 76〜77p"東京湾横断道路と併用モノレール”/ 渡部与四郎(筑波大学教授・東京湾横断道路併用モノレール検討委員会委員長)
図2 東京湾横断道路併用モノレール路線計画図(案)
東京湾横断道路「アクアライン」
東京湾横断道路は、後1997年にアクアラインの愛称で開通した。
画像はS.A.海ほたる
S.A.海ほたるより木更津方向を見る。
S.A.海ほたるより東京方向を見る。
2.東京湾横断道路とモノレール
具体的な進展はないものの、東京湾アクアラインが開通した後にも話題として取り上げらるアクラライン鉄道構想。東京湾横断道路の整備が計画段階であった1980年代初頭においても、この鉄道併設案は常に試案されていた。1982年(昭和57年)8月には、第9次道路整備5カ年計画案において、東京湾横断道路が「調査を完了し、建設に着手する」項として明記された。日本モノレール協会では、当時各地で整備および計画が推進されていた"モノレール"を、東京圏の交通の便益へ寄与する事を目的として、この東京湾横断道路にモノレールを併設する検討を独自に進めた。同協会は、東京湾横断道路併用モノレールについて検討を行う東京湾横断道路併用モノレール検討委員会を組織した。当委員会は、学識経験者および企業の専門技術者をあわせた14名の委員と6名の作業班で構成され、1982年5月に第一回の会合を開催、検討内容の協議に掛かっている。この検討内容の中間報告が、日本モノレール協会協会誌49号(1983年3月)"東京湾横断道路と併用モノレール
/ 渡部与四郎(筑波大学教授・東京湾横断道路併用モノレール検討委員会委員長) 72〜80p"にて筑波大学 渡部教授より報告されている。
東京湾横断道路一般図(案)
【出典】日本モノレール協会協会誌49号(1983年3月) 74〜75p"東京湾横断道路と併用モノレール”/ 渡部与四郎(筑波大学教授・東京湾横断道路併用モノレール検討委員会委員長)
図1 東京湾横断道路一般図(案)
2-1.路線概要
このモノレール路線は、新横浜駅より川崎駅前を通り、東京湾に出、羽田空港へのブランチを考慮しつつ東京湾横断橋15kmに併設された軌道を通り、木更津側に至る延長46.5kmとして計画するもの。羽田空港へのブランチ(支線)は、浮島橋西および東交差点間に流れる多摩運河付近より分岐し、現在の環八通りおよび東京モノレール線合流部付近への合流を想定していたものと推定される。ただし、用いるモノレールシステムとしては日立アルウェーグ大型タイプ(軌道桁幅850mm)にて試算が成されていた様で、当支線自体を現行の東京モノレール線(中型タイプ:軌道桁幅800mm)と合流する事は考慮していなかった可能性も考えられる。
写真 東京湾横断道路(アクアライン)
東京側入口全景
写真 S.A.海ほたる外観
写真 東京湾横断道路(アクアライン)木更津側
木更津側に入ったモノレール軌道は、内房線合流地点に新駅を設置する計画ではあったものの、以降の方向性については検討の最中であったと推定される。報告の記載では、上総研究学研都市構想による町作り等を以降のルートの方向性として考えていた事が示されている。さらに、将来的にはさらなる延伸も構想がなされていた様だ。
写真 東京湾横断道路(アクアライン)木更津側全景
画像中央に内房線合流地点が位置し、この地点までは初期整備ルートとして考えられていた。
以上、各区域として、新横浜駅〜川崎駅間約9km、川崎駅から東京湾横断道路まで約10.5km、羽田空港支線5km、東京湾横断道路併設部約15km、木更津上陸後7km、合計46.5kmにもおよぶ路線として検討された。また設置駅は、主要駅7駅、中間駅23駅、駅間平均1kmとして考えられていた。
軌道断面図(案)
(東京湾横断道慮橋梁部)
軌道断面図(案)
(東京湾横断道沈埋トンネル部)
東京湾横断道沈埋トンネル部について、日本モノレール協会 軌道断面図(案)をベースに全体断面図として示したもの。
モノレール協会の断面図は、この当初計画案でベースとなっていた沈埋トンネル構造となっている。しかしながら、実際のアクアライントンネルは、この沈埋構造ではなく、シールド工法で施工されている。
日本モノレール協会の思案検討時は、計画思案自体が、アクアライン着工以前の段階、つまり沈埋工法をベースに考えられていた事から、断面図も実態に合っていない状況が生まれています。
上記に説明した構造でモノレールが敷設されていた場合、海ほたるでは、増設用に用意された3つ目のトンネル(下り線北側)を用い、現在の下り線を最大計画位置となる北側へスライド、モノレール軌道を中央のトンネルに配置する
といったイメージとなったはず(モノレール軌道想定位置が画像中赤の線)。
実際のアクアライントンネルは、沈埋構造ではなくシールド工法で施工されている。
【出典】日本モノレール協会協会誌49号(1983年3月) 79p"東京湾横断道路と併用モノレール”/ 渡部与四郎(筑波大学教授・東京湾横断道路併用モノレール検討委員会委員長)
図3 軌道断面図(案)(東京湾横断道慮橋梁部) 図4 軌道断面図(案)(東京湾横断道沈埋トンネル部)
2-2.施設・方式
路線延長46.5km、最小曲線半径100〜50m、最急勾配4.5〜6%、軌道桁はw850×h1500(日立大型)として、基本桁長20mを採用。支柱はT型RC支柱を想定。車両は大型2軸ボギー跨座型電動車両6編成を想定。
信号保安装置は複線自動固定閉塞式を想定。運転計画として、表定速度30〜60km/h、ピーク時運転間隔8〜10分、乗車効率155〜177%、総車両数114〜168両を想定。建設費試算としてインフラ部981億円、インフラ外部838億円、その他259億円、合計2078億円を想定(値上率年5%、工期5年と仮定)。
現在の海ほたる位置より地上橋梁部に出るモノレール
【出典・参考文献他】
日本モノレール協会協会誌49号(1983年3月) 72〜80p
"東京湾横断道路と併用モノレール”
/ 渡部与四郎(筑波大学教授・東京湾横断道路併用モノレール検討委員会委員長)
東京湾横断道路のすべて (日経コンストラクションブックス)
東京湾横断道路構造概要図
昭和50年3月 建設省関東地方建設局東京湾岸道路調査事務所
Editor: Takumaru Tamura(調査・文 田村拓丸)
MJWS Representative / Editorial Desk
Based on information exchange with monorail operating companies, he gives community-oriented lectures. He engages in a wide range of activities aimed at maintaining and developing monorail infrastructure, including writing and editing monorail-related articles, designing layouts and illustrations, and more.