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モノレールとは

モノレール一覧

7. タイプ別モノレール一覧

 モノレールは、一本の軌道桁または単一の軌道を基準として車両が走行する交通システムです。
 ただし、一口にモノレールといっても、その構造は一様ではありません。

 車両が軌道桁の上にまたがって走る「跨座式」、車両が軌道の下に吊り下がる「懸垂式」、さらにその中でもアルウェーグ式、ロッキード式、SAFEGE式、ランゲン式など、時代やメーカーによって多様な方式が存在します。
 このページでは、代表的なモノレール路線を方式ごとに整理します。観光施設内の小規模路線から、都市交通として本格的に運行されている路線まで、モノレールの発展を一覧できるようにまとめました。

7-1. 跨座式モノレール

 跨座式モノレールは、車両がコンクリートまたは鋼製の軌道桁をまたぐ形で走行する方式です。
 現在、世界で最も広く普及しているモノレール方式であり、日本の都市モノレールの多くもこの方式に属します。

 軌道桁の上面をゴムタイヤの走行輪が転がり、側面に設けられた案内輪・安定輪によって車体の姿勢を保ちます。高架構造との相性がよく、道路上空に建設しやすいことから、都市交通、空港アクセス、観光地輸送、リゾート交通などで採用されてきました。

アルウェーグ式・日本跨座式系

 アルウェーグ式は、戦後のモノレール技術に大きな影響を与えた跨座式モノレールです。
ドイツで開発されたアルウェーグ式は、シアトル、東京モノレール、名鉄犬山モノレールなどを通じて実用化され、日本では日立製作所によって発展しました。

 日本国内では、北九州モノレール以降、日本跨座式モノレールとして標準化が進み、大阪モノレール、多摩都市モノレール、沖縄都市モノレールなどの都市交通路線へ展開されました。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式・メーカー 備考
シアトル・センター・モノレール 1962 アメリカ 現役 アルウェーグ式 1962年シアトル万国博覧会にあわせて建設された代表的なアルウェーグ式路線
よみうりランドモノレール 1964 日本 廃止 日立系アルウェーグ式 読売ランド前駅と遊園地を結んだ初期の跨座式モノレール
奈良ドリームランドモノレール 1960年代 日本 廃止 東芝式 奈良ドリームランド内で運行された東芝式跨座モノレール
横浜ドリームランドモノレール 1966 日本 休止後廃止 東芝式 大船駅付近と横浜ドリームランドを結んだが、短期間で運行休止となった
名鉄犬山モノレール 1962 日本 廃止 日立系アルウェーグ式 犬山遊園駅と成田山・日本モンキーパーク方面を結んだ初期の跨座式路線
東京モノレール 1964 日本 現役 日立系アルウェーグ式 羽田空港アクセスを担う、日本を代表する跨座式モノレール
北九州モノレール 1985 日本 現役 日本跨座式・日立 日本跨座式モノレールの本格的な都市交通路線
大阪モノレール 1990 日本 現役 日本跨座式・日立 営業距離の長い跨座式都市モノレールとして知られる
多摩都市モノレール 1998 日本 現役 日本跨座式・日立 多摩地域を南北に結ぶ都市モノレール
ディズニーリゾートライン 2001 日本 現役 日本跨座式・日立 舞浜地区を循環するリゾート型モノレール
沖縄都市モノレール ゆいレール 2003 日本 現役 日本跨座式・日立 沖縄県唯一の軌道系都市交通
重慶軌道交通2号線 2005 中国 現役 日本跨座式系・日立技術 中国における本格的な跨座式都市モノレール
重慶軌道交通3号線 2011 中国 現役 日本跨座式系 重慶モノレール網の中核路線。大規模都市交通として発展
セントーサ・エクスプレス 2007 シンガポール 現役 日立小型跨座式 セントーサ島へのアクセス路線
パーム・ジュメイラ・モノレール 2009 UAE 現役 日立系跨座式 ドバイの人工島パーム・ジュメイラを走る観光・アクセス路線

ボンバルディア/Innovia系

ボンバルディア、現在のアルストム系Innovia Monorailは、北米、ブラジル、中国などで採用された跨座式モノレールです。
ディズニー系モノレールの技術系譜や、ラスベガスモノレール、サンパウロメトロ15号線などに展開を見ることができます。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式・メーカー 備考
ラスベガス・モノレール 2004 アメリカ 現役 ボンバルディア系 Mark IV系から発展した都市型モノレール
サンパウロメトロ15号線 2014 ブラジル 現役 Innovia Monorail 300 南米における大規模な跨座式都市モノレール
蕪湖軌道交通 2021 中国 現役 Innovia Monorail 300系 中国国内で展開された跨座式都市交通システム

スコミ系

スコミは、マレーシアを拠点として跨座式モノレールを展開したメーカーです。
クアラルンプール・モノレールで実用化され、その後ムンバイ・モノレールにも採用されました。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式・メーカー 備考
KLモノレール 2003 マレーシア 現役 スコミ クアラルンプール中心部を走る都市型モノレール
ムンバイ・モノレール 2014 インド 現役・運行状況に変動あり スコミ インド初の都市型モノレールとして開業

BYD SkyRail系

BYD SkyRailは、中国BYDが展開する跨座式モノレールシステムです。
中国語では「雲軌」と呼ばれ、ゴムタイヤ式の跨座式モノレールとして、都市内中量輸送、観光交通、空港アクセス、ニュータウン内交通などを想定して開発されました。

BYD SkyRailは、従来の日本跨座式やInnovia系とは別系統の現代型モノレールです。中国国内での実用化を経て、ブラジル・サンパウロなど海外案件にも展開されています。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式・メーカー 備考
第9回中国花卉博覧会/銀川花博園 雲軌 2017 中国・寧夏回族自治区銀川市 運行実績あり BYD SkyRail/比亜迪・雲軌 第9回中国花卉博覧会にあわせて整備された、BYD SkyRail初期の商業運行路線
サンパウロメトロ17号線 2026 ブラジル 一部開業・整備中 BYD SkyRail コンゴーニャス空港アクセスを担うモノレール路線
雲軌系観光・地区内交通路線 2010年代以降 中国 展開中 BYD系 都市内中量輸送、観光交通、地区内交通向けに展開

銀川の花博園 雲軌は、BYD SkyRailの初期実用例として重要です。
都市の幹線交通というより、博覧会場・観光エリア内の移動を担う路線として整備されましたが、BYDが跨座式モノレールを実際の営業環境へ投入した最初期の事例として、技術史上の位置づけを持ちます。

ロッキード式

ロッキード式は、ゴムタイヤ式ではなく、鉄製弾性車輪を用いた跨座式モノレールです。
日本では姫路市営モノレールと小田急向ヶ丘遊園モノレール線に採用されました。

アルウェーグ式や日本跨座式とは構造思想が異なり、軌道桁上の走行レールと側面の案内・安定軌条を用いる方式でした。現存する営業路線はありませんが、日本のモノレール技術史では重要な位置を占めます。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式・メーカー 備考
姫路市営モノレール 1966 日本 廃止 日本ロッキード式・川崎 手柄山周辺を結んだロッキード式モノレール
小田急向ヶ丘遊園モノレール線 1966 日本 廃止 日本ロッキード式・川崎 ロッキード式として最後まで営業した日本の路線

7-2. 懸垂式モノレール

懸垂式モノレールは、車両が軌道の下に吊り下がる方式です。
跨座式に比べて採用例は少ないものの、地形条件や都市空間との関係によっては非常に特徴的な交通システムとなります。

懸垂式では、上部の軌道桁またはレールに走行装置を置き、車体をその下に吊り下げます。代表例として、ドイツのブッパータール空中鉄道、日本の湘南モノレール、千葉都市モノレール、中国の光谷空軌などが挙げられます。

SAFEGE式

SAFEGE式は、走行装置を箱形の軌道桁内部に収め、車体を下方に吊り下げる懸垂式モノレールです。
走行面が軌道桁内に収まるため、雨や雪の影響を受けにくく、ゴムタイヤ式でありながら全天候性を高めやすい構造となっています。

日本では三菱重工業がこの方式を導入し、東山公園モノレール、湘南モノレール、千葉都市モノレールへと展開しました。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式・メーカー 備考
東山公園モノレール 1964 日本 廃止・保存 SAFEGE式・三菱 日本におけるSAFEGE式の実証的路線
湘南モノレール 1970 日本 現役 SAFEGE式・三菱 急曲線、急勾配、トンネルを含む本格的な懸垂式路線
千葉都市モノレール 1988 日本 現役 SAFEGE式・三菱 世界最長級の営業懸垂式モノレールとして知られる

ランゲン式

ランゲン式は、ドイツの技術者オイゲン・ランゲンによって考案された古典的な懸垂式単軌鉄道です。
鋼製架構にレールを支持し、その下に車両を吊り下げる構造で、SAFEGE式のように走行装置を箱形軌道桁内に収める方式とは異なります。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式 備考
ブッパータール空中鉄道 1901 ドイツ 現役 ランゲン式 ヴッパー川上空を中心に走る、世界的に著名な都市型懸垂鉄道
ドレスデン懸垂鉄道 1901 ドイツ 現役 ランゲン式 構造は懸垂式、運転方式は鋼索鉄道に近い短距離路線

ダブルランゲン式

ダブルランゲン式は、ランゲン式の考え方をもとに、車両を二本の走行軌条で支持する懸垂式モノレールです。
日本では東京都交通局上野懸垂線がこの方式に属します。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式 備考
東京都交通局 上野懸垂線 1957 日本 廃止 ダブルランゲン式 日本初の常設モノレール路線として知られる

現代型懸垂式モノレール

近年では、中国でも懸垂式モノレールの営業路線が登場しています。
代表例が武漢市の光谷空軌です。光谷空軌は、車体を軌道桁の下に吊る構造を持ちますが、三菱重工業系SAFEGE式の直接的な系譜ではなく、中国で独自に開発された現代型の懸垂式モノレールです。

路線名 開業年 国・地域 状況 方式 備考
光谷空軌 2023 中国・武漢 現役 現代型懸垂式 中国初の営業懸垂式モノレールとして整備された観光・地区内輸送路線

その他の懸垂式・横吊り式

懸垂式モノレールには、上記の代表的な方式以外にも、特殊な構造を持つ路線や実験的な方式が存在します。
車体を軌道の真下ではなく横方向に吊る「横吊り式」や、産業用・遊覧用に近い小規模な懸垂式システムもあります。

これらは都市交通として普及した例は多くありませんが、モノレールという交通システムが、地形条件、施設条件、観光需要に応じて多様に変化してきたことを示す存在です。

7-3. この一覧の見方

 この一覧では、モノレールを単に国別・開業年順に並べるのではなく、方式ごとに整理しました。
 モノレールは外観だけでは似て見えることがありますが、実際には軌道桁、車輪、案内方式、分岐器、保守方式が大きく異なります。

 たとえば、東京モノレール、北九州モノレール、大阪モノレールはいずれも跨座式ですが、初期アルウェーグ系と日本跨座式では規格や時代背景が異なります。
 一方、湘南モノレール、千葉都市モノレール、ブッパータール空中鉄道はいずれも懸垂式ですが、SAFEGE式とランゲン式では軌道構造がまったく異なります。

 したがって、モノレールを理解するには「どこを走っているか」だけではなく、「どの方式で成立しているか」を見ることが重要です。
 同じモノレールという名前の下に、都市交通、空港アクセス、観光交通、遊園地輸送、実験線、廃止路線が重なっているところに、この交通システムの面白さがあります。

 本ページでは、世界中のすべてのモノレールを網羅するのではなく、方式の理解に役立つ代表的な路線を中心に掲載しています。
 小規模な遊戯施設、産業用モノレール、農業用モノレール、貨物専用モノレール、未成線、構想段階の計画は原則として対象外とし、必要に応じて別ページで扱います。

 廃止された路線についても、技術史上重要なものは掲載しています。
 姫路市営モノレール、小田急向ヶ丘遊園モノレール線、横浜ドリームランドモノレール、東山公園モノレール、上野懸垂線などは、現存しない路線であっても、日本のモノレール技術を理解するうえで欠かせない存在です。
 
今後、各路線の詳細ページでは、開業年、廃止年、営業距離、駅数、車両形式、メーカー、軌道構造、分岐器方式、現存資料の有無などを順次整理していきます。


 
モノレールジャパン
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目次

モノレールとは?
1.モノレール

2.跨座型モノレール-アルウェーグ(ALWEG)式モノレール
 -2-1.アルウェーグ(ALWEG)式
 -2-2.日本跨座式
 -2-3.東芝式
 -2-4.Bombardier Transportation
 -2-5.Scomi Rail (MTans)
 -2-6.CRRC(中国中車)
 -2-7.モノレールマニュファクチャラー(アルウェーグ式)

3.跨座型モノレール-日本ロッキード式モノレール

4.跨座型モノレールのレール(軌道)
 -4-1.鋼軌道
 -4-2.鋼軌道(分岐器等)
 -4-3.鋼軌道道における降雪および凍結防止策
 -4-4.PC軌道
 -4-5.PC軌道(鋼架台ハイブリッド)
 -4-6.UFC軌道(超高強度繊維補強コンクリート軌道)
 -4-7.ロッキード式(鉄製弾性車輪方式)モノレール軌道
 -4-8.PC軌道桁のサイズ(日本国内)

5.懸垂型モノレール-サフェージ(SAFEGE)式モノレール
 -5-1.サフェージ(SAFEGE)式モノレール
 -5-2.三菱重工業による湘南モノレールの全持ち株売却
 -5-3.SIPEMシステム
 -5-4.中国・武漢 光谷空軌
6.懸垂型モノレール-ランゲン式モノレール
 -6-1.ブッパータール空中鉄道
 -6-2.ドレスデン懸垂鉄道
7.懸垂式モノレールのレール(軌道)
 -7-1.SAFEGE式モノレール軌道

8.タイプ別モノレール一覧